「わけない」が鍵

公開日: 2024/03/11

災害の頻発により、日常と非常時の境界が曖昧になりつつあります。これまで有事のためだけに資金や時間、人的リソースを割くことに対する懐疑的な声もありましたが、それはもはや時代遅れであることが明らかです。

2024年1月1日に発生した能登地震は、深刻な被害の状況と共に、災害対応に関する私たちの進歩の遅れを露呈しました。

驚くべきことに、発災から2か月以上が経過した今でも、どこでどんな方が何を必要としているのか、誰も把握できていません。そのための仕組みが存在しません。今は2024年。スマートフォンの普及が当たり前となり、AIによる革新が進行中で、世界ではApple Visionが発売されている時代です。

仕組みがないため、一部の地域の情報だけが全体の状況であるかのように誤解され、異なる状況にある人々が取り残され、さらには、そうした方々に手を差し伸べようと動く人を批判するという、繰り返される問題が解決できていません。

災害発生直後の数か月間だけリソースを割いて、次の災害に対する知見を残さずに終わるという状況を変える必要があります。長期的なビジョンを持つ取り組みへの継続的な投資が必要です(これほど未来の為に確実な投資は多くないはずです)。

「進歩の遅れ」という点で、13年前から災害に関する取り組みを進めてきた私たちSmart Supply Vision(SSV)も、責任の一端を自覚しています。こうした課題を解決するためには、デジタルの力を活用した、国・自治体・民間・市民を含むあらゆる層の垣根を越えるオープンな仕組みが不可欠であり、その実現に向けて、私たちSSVが果たせる役割は小さくないと考えています。

SSVは、この1年間、デジタル庁、青森県、東京海上日動など様々な組織と協働を進めてきました。まだ道半ばですが、長期的な視点を保ち、私たちができることなら何でもやるという気概で、引き続き力を注いでいきます。

大きな組織との協働を進める一方で、最終的には私たち一人ひとりの市民の力が決定的に重要だと信じています。この統合をどう実現するかについては、今後をご期待ください。その際には、皆さんの力を貸してください。

日常と非常時をわけない。大きな組織と一人ひとりの市民をわけない。かつては効率のためにそうせざるを得なかったこと。今ならデジタルの力とちょっとしたアイデアでそれを実現できるのです。

御礼

最後に、能登地震における様々な支援プロジェクトに対して、多くの方々から支援をいただきましたことに心から感謝いたします。能登地震支援はまだ長期にわたることが予想されますので、引き続きご協力をお願いいたします。

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